カリフォルニア州といえばロサンゼルスやシリコンバレーが注目されがちですが、近年、サンディエゴに進出する日系企業が着実に増えています。2025年時点で特に目立つのが、ライフサイエンス、再生医療、ヘルスケア、半導体関連、そしてIT・ソフトウェア領域です。サンディエゴはUCSDやScripps Researchを中心に研究開発が盛んなことから、スタートアップや研究機関との共同開発を狙う日本企業が拠点を設けやすい土壌があります。
また円安が続く中でも、アメリカ市場でのプレゼンスを強化したい企業や、北米での販売網を確立したい中堅メーカーの動きも目立っています。特に2025年は、駐在員を派遣せず「現地採用+コンサルティング」を組み合わせた柔軟な進出モデルを取るケースが増えました。
サンディエゴは医療テック・クリーンテック系のスタートアップが多く、アメリカ側インキュベーターが日系企業や研究者に門戸を広げているのが特徴です。2025年は日本国内の資金調達環境が厳しくなった影響で、アメリカのVCから投資を受ける目的で移住するスタートアップ創業者も増えました。
また米系企業側でも、日本の技術力や製品品質に対する評価は依然高く、日米間の共同R&D案件は2024年より明確に増加しています。金利高の影響で米ローカルの中小企業は事業投資に慎重になっていますが、その分、外部パートナーとして日系企業が受け入れられやすい流れが生まれています。
2025年の特徴として、**「フル駐在」よりも「ハイブリッド駐在」**が主流になった点が挙げられます。
・半年だけ現地に滞在し、残りは日本からオンラインでサポート
・家族帯同を避け、単身で短期駐在(VisaはL、E、Bなどを使い分け)
・現地スタッフとコンサル会社を活用し固定費削減
特にサンディエゴは生活コストが高く、円安環境も重なり、従来型の駐在モデルが採用しにくい状況です。その一方で、移住者や現地採用者は緩やかに増加しており、現地コミュニティでは日本語を話せるビジネス人材への需要が高まっています。
2026年を見据えると、サンディエゴのビジネス環境はさらに日系企業にとって魅力的になると予想されます。
まず金利は2025年後半から緩やかな低下が見込まれ、スタートアップ投資や研究開発費の増加が期待されています。これにより、日系企業のジョイントベンチャーや現地企業との提携が活発になる可能性が高いです。
また、北米事業の再構築を進める日本企業が増える中で、サンディエゴは「LAとシリコンバレーの中間に位置するR&D拠点」として再評価されつつあります。
一方で、移民政策やビザ制度の動向次第では、人材確保が難しくなる可能性もあります。特に専門職ビザ(EやL)の審査基準が変われば、進出時の計画や人材戦略にも影響が及びます。
サンディエゴは2025年にかけて日系企業の関心が確実に高まっています。
高い研究開発力、豊富なスタートアップとの協業機会、そしてアメリカ市場でのブランド強化を狙う企業にとって、2026年はより重要な年になるでしょう。円安や金利動向に左右されつつも、柔軟な進出戦略を採れる企業には、確かなチャンスが広がっています。